主屋

しゅおく　　　Main duilding

　公人屋敷の中心施設で、比叡山の門前町坂本を代表する特徴的な建造物の一つ。多くの公人屋敷が改造や改修の手が加えられている中で、当施設はほとんど手が加えられておらず、近世の公人屋敷の佇まいが色濃く残されています。
　岡本家の家系図によれば、現当主六代前の記述に「居宅新築」とあることから、おおよそ江戸時代後期に建設されたと推定されます。
　今回の改修時に元治（げんじ）元年（1864）の棟札（むなふだ）が発見された為、同年に新築又は改修が行われた可能性が高いと思われます。主屋は延暦寺の役人時に新築されましたが、岡本家は明治維新の神仏分離の折、延暦寺を離脱し、日吉大社の神職となった事から、社家となり現在に至っています。
　桁行（けたゆき）八間、梁間五・五間の切妻造・桟瓦葺、平入りで南北に縁側、東西に大小九部屋を設け、三列三行の整形な間取りを崩した形となっています。奥の四畳間は「神前の間」と呼ばれ、祖霊社（それいしゃ）が設けられていますが、この点が一般の住宅と異なります。岡本家が延暦寺公人衆を離脱する明治初期までは仏間であったと思われます。
　また、座敷や神前の間の襖には、江戸中期に活躍し、晩年を坂本で過ごした横井金谷（よこいきんごく）（1761～1832）の描く襖絵（現在は大津市歴史博物館に所蔵）が据えられ、屋敷の趣をなお一層高めていました。

玄関	かまど	台所	台所横半地下の室
座敷から庭を望む	外回り廊下	生け花が	お座敷1
お座敷2	横井金谷の襖絵1	横井金谷の襖絵2
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